脇息と休息 木工する実用工作
時代劇で殿様が使っている肘置き
脇息(キョウソク)と言う
わらわも 脇息が欲しい。
わらわは欲深い。
欲しい物は必ず形にする。
肘置きがわりに、シフトに手を置く癖がある。
ミッションに余り良くないと言われる
そんなダメージ微々たるもの、一般摩耗の範囲内だ。
車は消耗品であるから、チマイ事は気にせず
しっかり使って。しっかりメンテしたら良い
かなり前からここに肘置きが欲しかった。
勿論この車内に適合する肘置きなんて存在しない。
ネット検索しても出てくるわけがない
では、私の十八番、「ゼロから創り、造りあげる」
無いものは作る
はい、完成
如何でしょう、頭の中のイメージを再現した。
少しPOPな動画編集。
今やこの程度の編集は片手間10分で仕上がってしまう時代となった。
これで、この脇息もネット検索に引っ掛かるでしょう。
分からなければ検索し、情報を探す。
知らなければ検索し、知識を探す。
当たり前の行為。
ある分野の講師を定期にしており気付いた事がある。
「ネット検索」
その当たり前の行為が「知恵」を失い、知能格差を生んでいる。
「ググる」事により「知恵無し」が大量発生
現代において情報と知識は誰でも手に入る
今の所、だれでも平等にアクセス可能。
あなたが知っている情報や知識はもう誰でも知っていると思った方がいい世の中。
ネット知識を自慢げに披露、なんてのはもは愚の骨頂に値する。
一方で「知恵」やその先の見識はネットからでは授からない
講習ではその事実を公の面前で突きつける実験から始まるが
ここは趣味のスペース、割愛する。
分野が被ればお会いする事もあるでしょう。
以前のブログで出てきた謎の図面
この謎の図面が今回の製作物
脇息を設置するに問題がある
固定だとサイドブレーキ引けない
長さを中途半端にするとつける意味がない
この事から可動は必須条件となった
どのように稼働させるか
回転、旋回、開閉、スライドなど様々浮かぶ
スライドが最も理に適うと直感
スライドレールの作製に取り掛かる。
木材は頑丈な檜を選定。
木工では材種の選定が重要
檜の板材をジェンガのように重ねて
ボンド接着のためウィスキーで荷重を掛ける
接着中に注ぐからたまに荷重が抜ける
名付けてぴゅあモルト接着
モルト接着した板材の不要部分を削り
趣を整える
すると自前のスライドレールが出来上がった。
檜で出来ているから薄くて丈夫だ
肘を乗せる天板の材質選び
これはかなり重要だ
製作したレールは薄さを抑えるため、天板にもレールの役割を持たしている
ある程度の耐摩耗性が必要であるから
桐は除外
檜か杉か。
杉をチョイス
杉の温度感と、レールの滑り制御のため杉にした。
つまり、広葉樹か針葉樹になるわけだ
広葉樹の檜は目が細かく空気の含有が杉より少ない。
それに比べて杉は空気を多く含み、真冬に素肌で触っても冷たくない。
杉に決めたところでデザイン選び
どの目が好みか
全て出して妥協せず選ぶ
先に申した通り、スライド構造の一部も成す天板。
曲がり方も重要なポイント。
程よく押さえつけていないとスカスカになり運転中に動くのだ。
これに決めた。
良い絵柄だし曲がり方向が分かりやすい
<木板の曲がりは予想できる>
・木の中心は外側より密度が高い。(情報)
・つまり、外側の方が多く湿気を含む。(知識)
ここまで言えばもう曲がる方向は予想できるだろう。
あとのメカニズムは読者の「知恵」によるところとする。
なんだって?分からない?
情報と知識が使えない?
何故分からないと思う?分析しなさい
それすら分からないか?
君にとって情報と知識は無用の長物だ。今すぐネット検索なんて時間の浪費は辞めなさい。
悪いね、性格の良さが滲み出た。
実際に 私の講習はこの様な物言いで、突如として強烈にdisられるから受講生は気が気じゃない。
居眠りする人間は誰一人居ない。
最後まで真剣そのものだ
最後は感謝を述べて行く人間もいるから不思議だ
ドMが多くて具合がいい。
気に入った木の目から天板を切り出した
レールとボンドで結合させる
このボンドはシーカヤック製作にも使用している超級力な2液ボンド
固まると母材の木より強靭となり、耐水性も身に着ける。
ボンド接着の肝は薄く均等。
躯体にもなる部分なのでウィスキーにはまかせれない
バイスでガチガチに接着する
接着が完了した
精度あげと趣を整える。
ビシッと直線を出す
身に刺さらないように角を取る。
得意のカンナでスパッと平面出しする
ベルトグラインダーよりも微調整が効いて失敗が無い。
流石 俺
美しくキマった
自画自賛はとても大切
敢えて組木にした理由
材料費の節約。
新たに買わず、レール材を無理やり使ったのだ
レールにはあらかじめロウを塗っておく
さぁ、車内にインストールする
ここでレールガイドを接着するわけだ
しくじったらオジャン
ガイドレールの取り付けでこの脇息が傑作になるか駄作になるかがきまる。
何故なら、木は常に膨張収縮を繰り返しているからだ
この時のクリアランスがこのスライド機構の心臓部となる
決まった
完璧だ
美しい!びゅりふぉー
レール材の薄さによる脆性を見事に天板の配置により荷重分散させ補完し、薄さと強度を実現した!
流石 俺
自画自賛は大切です
この気持ちの良い嵌まり込みをご覧ください。
この脇息は紛れもなく傑作!
可動式だからバグアウトモードでも交わして展開
見てくれを気にしてニスなんて塗っちゃいけない
杉の温もりがいい、ニスを塗ったらもはや木ではなくウレタン。
素肌で触ると冷たくなるだろう。
どこからどう見ても謎の図面通りの仕上がりだ。
おっと問題が発生。
脇息を展開するとドリンクホルダーの使用感が悪くなる
ドリンクを飲むたびに脇息を動かさねばならない。
さて、これについてはまた次回。
いつになったら船、できるん?
木工は楽しいが使えないとやる気が出ない
Kentarou in the woods.