プラグの熱価を上げるプラグ交換とファクト認識
JB23の本来の性能を呼び覚まそうと
OBDでエンジンデータを記録して観察したり
エンジンルーム内の温度を観察したり
エンジンルーム内にカメラを設置して走行中の熱の動きを観察したり。
色々なデータをとった上でK06Aエンジン図面と重ねてじっと思考をしていた。
するとある部分に気がつき
ちょっとだけ手を加えてみた。
バネで引っ張ったりする必要も無い。
それはたった5分で0円の手直しだった。
これが大当たり
同じ車と思えないほど変貌してしまった。
どんなアフターパーツをつけるよりも簡単に低コストでパワーアップした。
ネットで同じことしてる人はいないかと探して見た
ほとんど認知されていなかった。
電子化されてない情報というのは現代では非常に価値がある。
何故なら、それを持っている現実社会の人間に価値が付加されるからだ。
いや、そんな御託はどうでもいいとして。
パワーアップに一つだけ問題が起きている。
低回転からパワーを出せるようになった分、エンジンが熱くなった。
始動時、極まれにミスファイヤして単気筒エンジンのような挙動を見せる(おそらくプラグの摩耗)
街中での油温が今までは90度前後だったのに対してこのカスタム以降は100度に達するようになった。
さて、なぜ油温が10度上昇したのでしょう。
エンジン内部で油温を上げる原因を洗い出してみよう。
今までは90度であったことから、90度以上の熱を帯びた部位の温度が上がったのだろう。
エンジン内部で90度以上に上昇する部位は
・シリンダー
・タービン主軸
・エキゾースト近辺
・インタークーラーの吸気温度
そう、シリンダーと決めつけで飛び付くところだが、私はそういった原因究明にはかなり慎重に固定観念を打ち消して思考する。
これは今までの仕事の失敗から得た教訓。
おっと、何やら問題が起きたようだ。
部下A「先輩!コップに水が 半分しか 入っていません!」
先輩A「何だって!? 半分しか 入ってないのか!?」
部下B「先輩!コップに水が 半分も 入っています!」
先輩A「何だって!? 半分も 入っているのか!?」
どちらの部下も間違ったことは言っていない、どちらも真実である。
これは「真実」と「事実」の違い
かつて私は先輩Aの失敗を何度もした。
これはマネジメントの問題です。
人が言葉を発すると必ずバイアスがかかる。
この場合、今の私はこう聞き返えす。
「何mlのコップに何ml入ってますか?それはあるべき必要量より多いですか少ないですか?」
そう、事実確認が大切です。
大事なのはファクト!「事実」が何であるかが大切なんです。
真実は人の数だけありますが、事実はほとんどの場合1つだけ。
自分で自分にバイアスをかけることもあります、つまり経験からくる思い込み。
先入観はいけない
ファクト認識が重要
なので名探偵コナンは間違っています。
「真実はいつもひとつ」ではありません。
いつも一つなのは事実(ファクト)だけです。
しかしながらアニメの趣旨を鑑みるとそれで合っていると思います。
日本語って難しいね。
この日本語の曖昧さはハッキリしない日本人の生産性の悪さに繋がる文化的性質も生み出しています。
ちなみに日本人はコップに水が「半分しか」という人が大半を占めます。
ネガティブ思考が強いんです。
その性質を利用してて日本人の主導権を握るマネジメンに2つの手法があります。
それはこのブログに関係がないので次。
さてファクトチェックを開始します。
改造後に変わった数字を全て洗い出します。
エンジン内部で90度以上に上昇する部位は
・シリンダー
空燃比を確認→低い値で11.5程度だったのが10.3まで下がっていた
・タービン主軸
ブースト最大圧力0.9→1.05 低回転からも0.8掛かるが測定方法無し
・エキゾースト近辺
測定方法なし
・インタークーラーの吸気温度
ODB吸気温度を見る限り大きな変化なし
・水温
上昇度が早くなった
以上のことから明らかに変わった数字は空燃比
よって、シリンダー内部の温度が上昇している論理的な証拠である。
空燃比とは
燃料1gに足して空気が〇〇g という数字
つまり空燃比14.7と言われたら
燃料1gに対して空気を14.7g使用してシリンダー内部で爆発していますよ
という意味です。
ちなみにガソリンエンジンが完全燃焼する空燃比が「14.7」です。
この数字は車好きなら覚えておくべき数字でしょう。
最も綺麗な燃え方をしております。
分子量のモル計算で求められます。
この空燃比が改造後、大幅に数字が下がっていました。
空燃比12だったのが空燃比10まで下がっていた
空気を12g使っていたところを10gしか使わずに爆発させている。
要するにガスが濃い状態です。
これをガスリッチと言います。
ガスが濃いとパワーが出ますが温度が上がります。
これは一概には言えませんが、一般乗用車の爆発範囲ではおおよそそうなります。
私の改造によってECU(エンジン制御しているコンピュータ)が判断して
ガスリッチ状態にしているようです。
ちなみにJB23-10型は空燃比10.33が最下限のようでこれよりは下がりません。
しばらく観察していても明らかに空燃比が下がりシリンダー内部の温度が上昇しているのがわかったので
念のためプラグの熱価を上げておきます。
プラグはHKSのM40XL
NGKにはK6Aの熱価8番程度のものは出ていないので、必然的にHKSを選ぶことになるだろう。
熱価とは
たいてい6,7,8,9番がオーソドックス
で数字が大きいほど熱価が高いよ表現されて、熱に強くなる。
JB23Wは標準で7番がついていると思う。
ではなぜ熱に強くなり番手で何が違うのか。
それはNGKのHPにも表記されている。
熱価が高いと熱を喰らいにくく、放熱性も高い形状となる。
ほら、シリンダー内に暴露している赤い部分の表面積が少なくなってるでしょ
では熱価を上げれば何でもいいってわけでもない。
出力の低いショボいエンジンに熱価9番のプラグをつけても
上の表のとおり冷えすぎて自己洗浄温度である500℃に接近してスラッジまみれになって帰って悪い状態になる。
私のJB23の温度を見る限りチョイスした8番の熱価は適正だろう。
プラグ交換はエンタークーラーを外して普通に交換するだけ
ねじの回し方を知っていれば誰でもできる。
ただ、一番奥の3番プラグだけはステーと干渉して整備性が悪い。
取り出したプラグ
ねじ山が真っ黒だ。
これはねじ切りの精度の問題か、締めすぎか締めが弱いかでねじ山に隙間ができてシリンダーの圧力が入り込んでいる。
多分クリアランスと締めすぎだと思う。
ねじは締めれば締めるほど反対側の接触していない側の山の斜面に隙間ができる。
ねじはそうやって締まる構造だ。
それでは燃焼状態をプラグから見てみよう
1番シリンダー
外側電極が変摩耗して斜めになってしまっている。
ミスファイヤの原因はこれっぽい
焼け色は良好
2番プラグ
3本の中で一番いい状態
少しスラッジがこびりついているけど焼け色に問題はない。
3番シリンダー
3番も1番同様に外側電極が斜めに変摩耗している。
焼け色は3本ともほとんど変わらなかった。
現在走行距離79,626Km
プラグ交換はこれで2回目、この前はいつ交換したか覚えてない
状態から見てもう少し早く交換すべきだ。
軽自動車は排気量が小さく高回転、つまりプラグの点火回数が普通より倍近くになる
3万Kmに1回は交換したほうがいいような変摩耗の仕方だった
交換後のフィーリングは特にわからない
スムーズに回ってるかな?程度のプラシーボ
ただ、始動時のミスファイヤが無くなったのはプラグ交換の成果だ
あと気になる部分がまだ残っている
パワーアップしてから純正のブローオフがパワー負けして圧抜けを起こしている
それにブーストかけた後ににアクセルを弱めに抜くと「ひゅるるるるぅ~」とバックタービン音が発生するようになった。
タービンに向かって圧が逆流しているからなる音で、タービンにとって非常によくない。
排気と吸気がタービンの軸を介してけんかしているということだ。
最悪の場合、タービンの軸が曲がるか、羽が粉砕する。
ブローオフバルブをつけようか検討段階です。
ただ、このバックタービン音は聞いていてなんか気持ちい(笑)
それではまた。
Kentarou in the woods.